樹高数十メートルから百メートル級の大木が、地下水を梢まで揚水できるのは何故か、未だ解明されていないと聞いていた。俗説では、大気圧だとか、毛管現象だとか、表面張力によるとのことだが、専門家はこれらを否定しているそうだ。
ところが、最近、植物の揚水力について明解に断定する文にお目に掛った:
≪〈連載〉生きているを見つめ、生きるを考える22
緑豊かな高木の森が存在するのは 中村桂子≫ PR誌「機」2017年1月号 藤原書店
中村氏によれば、揚水力の主たるものは、葉の気孔からの水の蒸散による吸水力である:
≪これによる吸水力は気孔の近くにある空間、つまり細胞間隙の相対湿度できまる。湿度が100%では吸引力はゼロだが、80%ならなんと300気
圧もの力が出るというのである。3000メートルの高さまで大丈夫、、、。≫
相対湿度による吸引力という説がお墨付きを得たのはいつなのか、恐らく極く近年のことと察しられる。ネット上のある資料には次のような説明もある:
≪導管内の水は表面張力で葉に向かって引き上げられる。最大で110m程度まで揚水できる。(真空では10mまで。)≫(http://www.ml.seikei.ac.jp/biolab/lecture/AppliedBiology/9plantphysiol.pdf)
参考:植物における気孔(きこう、Stoma、plStomata)とは、葉の表皮に存在する小さな穴(開口部)のこと。 2つの細胞(孔辺細胞)が唇型に向かい合った構造になっており、2つの孔辺細胞の形が変化することによって、孔の大きさが調節される。主に光合成、呼吸および蒸散のために、外部と気体の交換を行う目的で使用される(ウィキペディア)。