イギリスのいわゆるブレクシットゥ国民投票やアメリカの大統領選挙に際して、秘かに世論操作を行い、選挙結果を左右したと疑われる企業があるそうだ。もう一週間以上も前の話題だが、気になるので記録しておこう:
≪続く選挙を前に欧米メディアが懸念する「CA社」の動き 2017年1月25日(水)NBO
開放性、誠実性、外向性、同調性、神経症傾向、いわゆる心理学でいう“ビッグ5”(あるいはOCEAN)を基準とした心理統計学(サイコメトリックス)~
SCL社という「情報コミュニケーション企業」~得意分野が「心理分析による選挙キャンペーン」とあり、親会社が軍需産業のひとつとして、イラクやアフガニスタンでサイオップ(心理学を応用した作戦)を使う「IT情報企業」だという。~
SCL社はその後、社名をケンブリッジ・アナリティカ(CA)社と変更していた。なお、ケンブリッジ大学とは関係がない。≫
選挙区内の住民の上記“ビッグ5”分析に基づいて彼らの投票行動を(誰かの)都合のいいように、かつ、気付かれないように誘導するために、選択的に情報を流すのだそうだ。当然、その情報は作為されていると思われる。極端な場合は偽ニュース(いわゆデマ)となる。
単にデマを撒き散らすのではなく、ある程度的を絞って情報を送りつける方法を取るから効率的で、効果が目に見えるらしい。堪らないのは気付かずに誘導されてしまう選挙民の方だ。後で≪あれはデマだった≫と判っても、その出所が曖昧で、責任の追及もままならないように工夫されている。
人が知らず知らず操られるという点では、昔騒がれた「サブリミナル効果」に匹敵すると思える。ウィキペディアでは次のように定義を記している:
≪多くの論文において利用される定義によれば、サブリミナル効果とは、閾値以下の刺激によって生体に何らかの影響があることである。十分に知覚できる長さの刺激によって引き起こされる効果は、スプラリミナル知覚影響と考える。
一方で、閾値以上の刺激でもサブリミナルを考えることができ、"注意が向いておらず「見えた」という自覚がなければよし" という定義も可能だと主張する研究者もいる。そのような議論の中では、埋込み広告の中にあるパッと見て理解できるメッセージ以外もサブリミナルだとされる≫
映画フィルムのコマの間に観客にはそれと知覚されない程度疎らに特定の情報(例えば商品のCM)を入れてくおくと、その後観客は無意識でその情報に影響を受けて行動する(その商品を選ぶ)という理論を聴かされた時には心底恐ろしいと思ったものだ。
そのようなサブリミナル手法は今では禁止されているということだが、人間の欲望は、飽くことなく同様の、あるいは更に優れた効果を求めて研究開発を促進することを覚悟しなければならない。