某所でのお年寄りの歌の集いで「雪」(雪やこんこ 霰やこんこ)が歌われた。講師が、“こんこ”を“こんこん”とも歌うことから一歩進めて、もともとは次のような歌詞であったと解説した:
≪ゆきや こんこん あられや こんこん
もっと ふれふれ とけずに つもれ
つもった ゆきで だるまや とうろう
こしらえましょう おねえさま≫
そのうえで、この歌詞を「雪」のメロディーに載せて、みんなで斉唱した。歌詞は無理なくメロディーに嵌って、めでたしめでたしだった。
ところが、あとで調べてみると、「雪やこんこん」は「雪」とは全く別の歌であることが判った:
「雪」 作者 不詳、『尋常小学校唱歌(二)』(1911(明治44)年)所収
畏れ多くも、滝廉太郎御製のメロディーをないがしろにして、「雪」の替え歌と成した、喜劇の一席であった。そうとは露知らず、当方も真面目に歌っていたのだから、まさにお笑いだ。
「雪やこんこん」が歌われなくなったのは何故か。メロディーは問題無いように思われる。歌詞が≪こしらえましょう おねえさま≫と女児言葉で終わっているのが気になる。雪合戦などダイナミックな雪遊びにいざなわない女児の歌と見做され、広まらなかったものか。