科学博物館で、我が関心の有る話題の講演を効率よく間合い30分で2件聴いた。:
地学 矢部淳 ナンヨウスギの話(30分)
南半球に自生するナンヨウスギ。その特徴や化石からわかる歴史について、南米チリでの調査の様子とあわせて紹介します。
植物 秋山忍 ウメとその仲間(15分)ウメとその仲間の花と果実のつくりについて
解説します。
ナンヨウスギについては、以前親しんだ経験の有るパラナマツにに関係するものと直観した通り、まさにその仲間の植物群であった。日本には現存しないナンヨウスギだが、恐竜跋扈のイラストなどに描かれる枝が横に張り出して皿のように見える樹木をイメージすればよいと言う。確かに、南米で聞いたパラナマツの説明の通りだ。
今なぜナンヨウスギなのか、当方には解らなかったが、司会者は“ホットな”テーマと述べていた。新種(の化石)が北海道で二十年ほど前に発見されたということに関係あるのかな。この新種の報告は日本人研究者によるものだが、化石そのものは百年も前にイギリス人女性科学者によって調査されていたそうだ(発表は1910年)。
彼女の名はマリー・ストープス、1907年8月から1年半日本に滞在したと言う。女性の地位を向上させる運動でも有名なのだそうだ。ウィキペディアには≪マリー・ストープス(Marie Carmichael Stopes、1880年10月15日- 1958年10月2日)は、スコットランドの植物学者、作家、女性運動家≫とある。
矢部先生は“チリマツの種子は食べられるらしいが不味く、自分は未食である”と仰る。当方は、チリマツは知らないが、パラナマツの種子は食べたことがあるので、美味しかった旨お話し申し上げた。その食用パラナマツの出所がチリだったか、アルゼンティンだったか、もう二十年近く前のことなので記憶が定かではない。チリと申し上げたが、、、。
『ウメとその仲間』のお話は、昨日の当欄で早咲き梅に触れており、良いタイミングだった。と言うか、そもそも今頃から東京辺りで梅が咲き始めるのだそうで、季節に合わせたトピックを選んだものらしい。短い時間の中で秋山先生は、花の構造の説明に重点を置かれた。
ウメの花を縦に割った断面図で、外周の上部は花弁、中間部は萼裂片、細くすぼまった基部は萼筒(がくとう)と一般に呼ばれるが、中間部は萼、基部は花筒(かとう)とも呼ぶことについての説明が結構長かったので初めは不思議に思った。
呼び方など、どうでもよいではないかと内心思ったのだが、まさに浅はかな素人考えであると判った。萼筒ならば萼の一部であると理解されるだろうが、実は、その部分は萼だけではなく、花弁や蘂の母体ともなっているので、花筒の方が適切であるとの趣旨であった。さすが、専門研究者は厳密に考えるものだ。
花の構造を観察するには、野生種(原種)が適しているそうだ。栽培種(園芸種)は植物本来の形から変異しており、典型的な構造が見えにくいと言う。ウメならば、八重の紅梅など見栄えのする園芸種でなく、質素な一重の白梅がよろしいそうだ。白梅の方が原種なのだな。