佐藤実「宇宙エレベーター その実現性を探る」(祥伝社 2016.8)を読み始めた。だいぶ前に新聞の書評欄で目にして、面白そうだと思い、予約しておいたものだ。宇宙ロマンに夢を馳せる野次馬仲間が大勢いると見えて、随分待たされた。
宇宙エレベーターなる表現が以前から一般的なのかどうか知らないが、そのアイディアがさほど新しくないことは解っていた。自分でもあれこれ想像を巡らしていたことを思い出す。宇宙とまでは行かないが、巨大飛行船を浮かべて地表までチューブで繋ぐ方式ならば、ローテクで実現できそうに思った。
本書の導入部で幾つか“なるほど”と教えられたことがある。宇宙エレベータのシャフトは、地上に建てた柱のように地球の自転と共に高速回転するので、適当な高さで宇宙船を切り離すだけで太陽系内の任意の場所に届けることが出来るとか。
あるいは、高度が増すと共に重力が弱まるのは常識としても、逆に「コリオリの力」が強くなり、乗り物の床が傾いていくように感じるとか。シャフトの先端(10万キロメートルの彼方)には「釣り合いおもり」が付くとか。
ところで、記述に疑問の点もある(22-23ページ):
≪静止軌道ステーションからケーブルの先端に向かってしばらく進んだところに、地球の重力を振り切る速さになる高度があります。地球の重力圏(地球の引力による影響を実質的に考えなくてもよくなる範囲。地表から約93万キロメートル)を抜け出すことができるので、「地球脱出臨界高度」と言います。≫