新聞の書評欄から選んで図書館に予約した「へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星」(鳴沢真也、講談社2016.6)をざっと読んだ。今回は順番が早めに回って来た。版元のキャッチコピーから抜粋:
≪星とは思えぬ異様な姿、奇想天外なふるまい……10個のへんな星たちに驚き笑い呆れながら、星の物理を学べる本≫ ![イメージ 1]()
小売業界の宣伝文句には結構用心深い積りだが、名の有る出版社にはつい気を許す傾向があり、時々ガッカリさせられる。誇張された比喩的形容詞句が氾濫し、客観的事実よりも先にイメージを読者に刷り込む手法に幻滅を覚えるばかり。
とは言え、著者と趣味を一にする読者にとっては面白い本であることは間違いないだろうから、一方に偏った感想ばかりでは大人気ない。本書の著述目的たる天体物理からは外れるが、幾つかの星や星座に関する実際的な解説は有益だった。
当方の単なる無知かもしれないが、疑問の残る記述もある。(太陽の黒点は)≪4000度もあるのでオレンジ色をしているはずですが、周囲との対比で黒く見える≫という。つまり、太陽面に黒点が文字通り点在する画像では、黒点は文字通り黒く見えると言う至極当然の理である。ならば、≪オレンジ色をしているはず≫の≪はず≫は不要ではないか。あるいは、実際にオレンジ色の画像が撮れないことを意味するのか。つまり、黒点だけを視野に入れる狭い範囲の画像は撮れない?
≪あとがき≫に、謝辞が英文で挿入されている:
The author would like to express her thanks to Jill Tarter at SETI
Institute for useful comments.