保阪先生の講話≪小学唱歌とドイツ語≫で更に思い出したことがあるので、追々加する。
懐かしい“Muss i den ( Mußi' denn、Abschied などとも。邦題は「別れ(の歌)」)”も取り上げられ、ドイツ南部、シュツットガルトなどを含むシュヴァ―ベン地方の民謡であることなど解説の後、エルヴィス・プレスリーが映画(GIブルース)の中で歌っているシーンを視聴した。
プレスリーはドイツで兵役に就いたことがあるとのことで、彼の地の歌など得意にしていたのかと思って聴いていると、“Zum Städtelehinaus,”の“Zum(ツーム)”を“ズーム”と発音していた。ドイツ現地でも英語で用が足りていたのだろうか、ドイツ語を耳から覚えはしなかったものと見える。なお、歌の大部分は英語だったと思う。
もう一つ、前々回の投稿で、“童謡「ちょうちょ」はスペイン民謡とされていたが、やはりドイツ生まれ(Hänschen klein ハンス坊や)である”とした件につき、保坂先生は詳しく説明された。それによると、「ちょうちょ」は明治時代に、伊澤修二がアメリカから持ち帰った曲に日本語歌詞を当てはめたもので、伊澤がスペイン民謡と誤って紹介したことが永らく信じられていたとのことである。
幻のスペイン民謡と言ったところで、これも懐かしい「追憶」を思い出す。“ほしかげやさしく またたくみそらを ~”と歌い出す唱歌で、永らくスペイン民謡と紹介されてきているが、スペイン歌曲専門の歌手(柳貞子氏)の(現地)調査でスペイン起源説は否定されている。