日頃、≪勝手にハモリ≫で自己満足に浸り、顰蹙を買っている当方だが、某所で勇気づけられる経験をした。童謡「虫のこえ」で5種類の鳴き声が嵌め込まれている部分を、適宜即興でハモると楽しいですよと講師の指導があり、なるほどと感心した次第だ。
蟲のこゑ 文部省唱歌
一、あれ、松蟲が鳴いてゐる。ちんちろちんちろ、ちんちろりん。
あれ、鈴蟲も鳴き出した。りんりんりんりん、りいんりん。
秋の夜長を鳴き通す、ああ、おもしろい蟲のこゑ。
二、きりきりきりきりこほろぎや、がちやがちやがちやがちや、くつわ蟲、
あとから馬おひおひついて、ちよんちよんちよんちよん、すいつちよん。
秋の夜長を鳴き通す、ああ、おもしろい蟲のこゑ。
単に音楽的にふくらみが増すだけでなく、実際に叢にすだく虫たちの声の多様さをよく表すことにもなるのだ。
たかが童謡と侮ってはいけないことをまたまた認識させられた。
もう一つ教わったのは童謡「月」の歌詞:
1 でたでた月が まるいまるいまんまるい ぼんのような月が
2 かくれた雲にくろいくろいまっくろい すみのような雲に
3 またでた月が まるいまるいまんまるい ぼんのような月が
恥ずかしながら、1番しかない、他愛の無いわらべ歌とばかり思っていた。全体でちょっとした物語になっているとは。
歌い方も、各節の情景に応じて表情を付けなさいと講師の助言。当然と言えば当然ではあるが、素直に従えば、≪たかが童謡≫もいっぱしの歌曲のような趣を呈する。