古書即売市で、尋常小学読本をパラパラ捲っていたら≪こかは≫という単語が目に入った。落ち着いて前後を読むと、≪小川(オガワ)≫の意味であると知れた。
これは驚きだが、発音は≪コカワ≫だろうかと思った。確かに小さい川なら≪コカワ≫で辻褄が合う。ただ、慣用音としては≪コガワ≫になるだろうか。
とにかく、戦前まではオガワでなく、コガワと発音したのかどうか、念の為≪こかは≫を日本国語大辞典(第2版)⑤ に当たってみた:
こかわ(こかは、小川)京都市内の南北通りのひとつ。今は“おがわ”が普通。
こがわ(小川、小河)細い流れの川。おがわ、細流。
日葡辞書(1603-1604)Cogauaa(コガワ) 訳:小さな川
これらの用例により、明治頃までは≪コガワ≫が通用していたと判る。≪オガワ≫が普通になったのはいつの頃かは今のところ不明。
小学唱歌の「春の小川」は始めから「ハルノオガワ」だったのかな、と検索したところ、「ハルノヲガハ」とあり、“オガワ”だったらしいと判る。時代は上記「青年」とほぼ同じ。