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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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大正琴 ~ 9月9日 ~ 重陽の節句

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岩波書店のPR月刊誌≪図書≫20169月号(811)の「大正琴いまむかし」(竹田賢一・音楽家)から色々教えられ、面白かった。大正琴そのものには触ったことは勿論、間近に見たことも無い。演奏は何回となく聞いた。殆どは合奏だったと記憶する。
 
何故“大正”琴なのかについては、容易に推察される通り、大正時代に世に出たからだそうだ。つまり、大正元(1912)年の99日に発売されたとのことである。ただし、その時の商品名は「菊琴」だったというから、いつだか判らないが「大正琴」に改名したのだ。
 
大正元年は730日から始まるから(大正改元~ブラック・トム大爆発~原爆輸送艦撃沈(4) 2016/7/30())、ほぼ大正時代とともに生まれたような楽器であるということで、素っ気ないながらも、出自にゆかり深い名称なのだ。
 
長調の節句99日が発売日だったというのは、勿論縁起の良い日を選んだのに違いない。その甲斐あって、1世紀を経た今、庶民の楽器として普及しているように見える。地域の文化サークルを見渡せば、必ず大正琴が目に入る。数の上では、コーラスには及ばないようだが、組織力では上回るような印象もある。
 
竹田氏は、大正琴を購入して3時間その楽器と戯れた翌日、演奏家デビューしたと豪語する。トラブルも無くライヴは終わったそうだ。彼がもともと音楽家だったからというだけでなく、楽器自体が演奏容易にと考案されているのだそうだ。
 
と聞くと、生来不器用な当方も挑戦したくなる。ピアノもギターも弾けない能無しにして、棺桶に片足突っ込んでいるような身分をも顧みず、楽器の値段も庶民的と聞いて、危うく駆けだしそうになったが、ハタと立ち止まった。我が陋屋には練習する場所が無いことを思い出した。
 
明日は≪大正琴の日≫なのだそうだ。

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