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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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ル・モンド ~ 日本メディアの盲点 ~ 具体的論点

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藤原書店 PR誌「機」の連載〈『ル・モンド』紙から世界を読む〉(加藤晴久)は、(スペースとしては)小粒ながら鋭い問題提起を身上とする質的には価値の高い読み物であった。当欄で何回か引用させて頂いた。
 
同誌No.293(2016.8)に加藤氏が寄せた≪9.11以降、『ル・モンド』は世界に何を発信したか? 『ル・モンド』から世界を読む≫によれば、その連載は2003年1月から始まり、第156回(本年3月号)で終わったとのことである。イメージ 1
 
今回は、13年に亘る連載のまとめを刊行されたことに因んで執筆の基本姿勢などを簡潔に述べている。『ル・モンド』とは何かというサブテーマも示唆に富み、我国のマスメディアに改めて奮起を期待したくなる。
 
また、藤原書店側から連載執筆依頼に当たって示された基本方針というのも優れものだ:
 
  1.  日本のメディアが取り上げていない、あるいは取り上げていても、分析が不十分だったり、見当違いだったりするテーマを選ぶ。
  2.  一般的な大問題を大上段に振りかぶって論ずることはしない。ああそうか、と読み流されるだけで何も残らない。具体的・個別的テーマを大きな文脈との関わりで紹介し、読む者に問題を提起し、考えさせることをめざす。
 
その顰に倣って、近時の話題をひとつ取り上げてみたい。時の人、女性都知事さんが、中央卸売市場の移転を延期すると決めた。移転促進派からは怒りが巻き上がっているようだが、慎重派の反応はよく判らない。
 
当方は、これは彼女の都政見直し姿勢をアピ-ルするパフォーマンスだろうという感想を持った。移転は来年5月頃との観測が伝えられてその感を強くした。“延期”と表現していることが決め手である。移転をすることは既定方針通りであって、これを覆すことは想定外である。
 
実施中の地質調査の結果を見て判断するとのことだが、判断基準は不明であるから、結局、半年ほど延期することでパフォーマンスの目的は達成されるのだろう。移転延期によって余計な費用負担が都民に降りかかるそうだ。
 
しかし、地質調査の結果を待たない既定の移転スケジュールというのも腑に落ちない。もし許容できないほどの汚染が明らかになった場合にはどのように対処することになっているのだろうか。“除染”技術があるから問題無しということか。
 
訳の解らないことだらけで、勉強不足なのかも知れない。時事問題を論評するのも、それなりに準備が必要だな。

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