武満徹の歌曲集≪SONGS≫の歌詞の日本語・外国語対応関係をまとめると次の通りである:
日語・英語 17曲 原詞日語で、本書編集時に英訳が為されたと推定される。訳者不明。
仏語・日語 ≪雪 La Neige≫ 原詞仏語 日本語訳詞者不明
独語・日語 ≪ワルツ Waltz≫ 原詩独語 日本語訳は原作詞者
西語・日語 ≪素晴らしい悪女 A Marvelous Kid≫ 原詞西語(ただしタイトルは英語) 日本語訳詞者不明
これら3曲はいずれも映画主題歌で、外国語原詞は日本人の作。
発行元は、日本ショット株式会社と表記されており、中扉に
SCHOTT
Mainz-London-Madrid-NewYork-Tokyo-Toronto
と世界営業拠点がしめされている。それらは東京は別として、英語・仏語・独語・西語圏に所在し、歌詞の外国語構成と一致する(Toronto自体は英語圏だが、この際、カナダの英仏バイリンガル性を採る)。
拠点網の言語圏を睨んでの選曲という面もあったのだろうか。武満の作品には、その他の外国語(例えば英語)歌詞による歌曲もあるのだろうか。とにかく、“世界のタケミツ”は、単なる贔屓の賛辞ではなかったのだな。
目次では、各曲のタイトルが、左から順に日本語、日本語の読み(ローマ字)、外国語の3行で表記されている。例えば、≪小さな空 Chiisana Sora Small Sky≫のように。
変則的に≪さようなら Sayonara Sayonara≫としたものもある。
≪ワルツ Waltz Waltz≫のような例もあるが、これは錯誤か。
横道に逸れてしまったが、これから武満徹の非現代音楽に属する歌曲を少し歌うことにしよう。手始めに、季節に因んで「燃える秋 Glowing Autumn」など。