売り出し中の若手メゾソプラノさんの声を聴きに行った:
ランチタイムコンサート 二期会シリーズ≪真夏に贈るオペラ・アリア≫
8月4日(木)12:10~13:00 杉山由紀(メゾソプラノ)、朴令鈴(ピアノ)
日本歌曲:
山田耕筰 「鐘が鳴ります」「曼珠沙華」「この道」
ドイツリート:
メンデルスゾーン 「歌の翼に」
モーツァルト 「ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いた時」
シューベルト 「糸を紡ぐグレートヒェン」
ピアノ独奏:
シューベルト ≪楽興の時≫より ヘ短調 作品94-3
メンデルスゾーン ≪無言歌集第5巻≫より 「春の歌」イ長調 作品62-6
オペラ:
グルック 『オルフェオとエウリディーチェ』より「エウリディーチェを失って」
モーツァルト 『フィガロの結婚』より「恋とはどんなものかしら」
シュトラウス 『ナクソス島のアリアドネ』より「先生、お許しください!」
マイアベーア 『ユグノー教徒』より 「高貴な殿様方、失礼します」
アンコール:
成田為三 「浜辺の歌」
このところ立ち見を余儀なくされていたので、昨日は開演1時間前の開場に間に合わせ、席を確保した。出演者は既にリハーサル中であった。聴くともなしに聴いていると、本調子ではないようだった。それでも予定の全曲をお浚いしているようだったので、本番前にスタミナを消耗しないかと他人事ながら心配になった。
しかし、いざ本番になると、全く不安を感じさせない見事な歌いっぷりで、やはり“売り出し中”の看板に値する実力者であった。リハーサルでは馬力全開ではなかったのだ。それでも迫力十分に聞こえたのは、当たり前かな。
全体に親しみ易い選曲となっており、楽しいコンサートだった。最後のシュトラウスとマイアベーアの2曲は、杉山の実力と魅力を強く印象付けるものだった。高音はHigh C に達していたようで、音域幅は2オクターヴを超えていたように思う。マイアベーアではコロラトゥーラの技巧を駆使していた。
終演後、会場ロビーのソファ―で、持参のサンドイッチを頬張りながら、プログラムに記載の杉山のプロフィールを読んでいたら、何と、“2015年アトリオン音楽ホール・オペラ『ヘンゼルとグレーテル』ヘンゼル役でオペラ・デビュー”とあるではないか。この公演のキャストを公募する公告は前年に見て、知っていたのだが、そのオーディションで役を射止めたのが彼女だったとは。
ふと目を上げると、彼女たちが未だお客さんと歓談中であった。そこで、急遽、杉山にインタヴューしようと思い立った。コーヒーでサンドイッチを胃に流し込み、彼女と先客との歓談の終わるのを待った。
秋田のオーディションの話を始めたら、彼女、さすがに驚いた様子であった。あとは当たり障りのない褒め言葉で締めて退散したのだが、折角の機会だから、アンコール・サービスの「浜辺の歌」で、1番も2番も“あした~”と歌ったことに注意喚起した方が善かっただろうか。余計なお節介をしなくて正解だっただろうか。