スティーヴン・グレイ(Stephen Gray、1666年 -1736年2月15日)の隠れた偉業を教えてくれたクラーク著・伊理由美訳「専制君主ニュートン」岩波書店)(2016/7/14(木))の末尾に、微妙なエピソードが紹介されている:
≪グレーは、生涯の最後の日々に、宇宙の構造の新しい記述に関心を向けていた。~電気を使って、振り子のように吊した小さな物体が、中心のもっと大きな一個の物体の周りを「惑星が太陽の周りを回るのと同じように規則正しく」回るようにする実験~≫
これは、グレーの亡くなる1736年頃のこととして記述されており、現代の常識では、見当はずれであることが明らかである。しかし、電気力を媒介として大きな物体を小さな物体が公転するモデルは、二十世紀初頭の古典的な原子模型そのものではないか。
電気力が万有引力と同様に、距離の二乗に反比例することは、グレー没の4箇月後に生まれたシャルル-オーギュスタン・ド・クーロン(Charles-Augustin de Coulomb、1736年6月14日- 1806年8月23日)が明らかにした。
電気宇宙模型は、グレー晩年の妄想と片付けられているが、その着想、発想は、やはり非凡な科学者の証明ではないか。