図書館で予約資料を受け出す際、「偏愛的数学 2」が返却期限を過ぎていると注意された。読み止しのまま雑事に紛れて忘れていた。慌ててざっと内容を眺めてみると、≪ナポレオンの三角形≫という、名称も実態も面白い事項もあり、後日再度読み直したい。
副題が「魅惑の図形」となっているが、音楽に舞台を借りた確率錯覚の問題が紹介されていたので記録しておこう:
≪レコードが3枚ある。それぞれ、両面とも声楽、両面とも器楽、片面声楽・片面器楽である。どれか1枚をプレーヤーに掛けたところ声楽であった。その裏面が声楽である確率如何。≫
直観的に、その声楽の裏面が声楽か器楽かは同確率であると思い易いが、それは誤りである。なぜなら、ランダムに選んだレコード面が声楽である場合は、両面声楽の2面と片側声楽の1面の3通りあり、そのうち裏面が声楽であるのは2通りであるから、確率は2/3となる。
これは比較的解り易い。ひところ話題になった“モンティ・ホール問題”と基本的に同じだ。クイズ番組そのままではなかなか呑み込めないが、このように翻案すると随分明解になるのも面白い。
もう一つ、「一見不可能問題」:
暗くて何も見えない部屋のテーブルの上にコインが12枚ある。うち5枚は表向き、7枚は裏向きであるが目には見えない。コインの場所は判っており、手探りで動かしたり、ひっくり返したり出来る。コイン12枚を二つの群に分け、両群の表向きコインを同数にせよ。
“まともに”取り組もうとすれば、途方に暮れるか、不可能であると断定するかしかないような難問だ(と思われる)。しかし、この問題、かつてお目に掛ったような、デジャヴュを催す。一方の群をそっくり裏返せばよいのではないかと推測した。