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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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「全國大學專門學校高等學校校歌集」③~寮歌風序文~弁論部系列

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「全國大學專門學校高等學校校歌集」の序文が興味深い。「校歌集」自序として、A5判より少し小さい1ページ分の短文である:
 
“力! 力! づ太い意気の力!
力の無い処に創造は生れない。創造の無い処に進化は無い。力は進化の根源である。
 誰か旧き生涯に安んぜむとするものぞ!
 おのがじゞ(ママ)新しきを開くこそ、力に富む青年の務めではないか。
 麗しく、あでやかなる人生の万華鏡は、或ひは讃嘆、憧憬、歓呼、或ひは憤激、呪詛となって、新しき生涯を建設せんとして進む若者の、血潮を躍らすであらう。
 勇しきこの進軍に際して、一切の虚偽と妥協を排し、純真に、真剣に生きる、うら若き人々には、力強く、声高らかに歌ふべき、行進曲を必要とする。
 思ふ、私が『校歌集』を今日編むの、如何に意義多きかを。しかも、全国百有余の各大学、高等学校、専門学校に亘り、その校歌、寮歌、応援歌の歌詞と曲譜を、蔵し得たことを、自ら大いに誇る。
 特に『カット』として挿入された、各学校の徽章が、他日、諸兄姉の何等かの役に立つ時があるならば、私の苦心と努力は、凡て報ひられたと言ふべきである。
 終りに臨み、『校歌集』編纂の為め、懇切なる御援助を給はりし、各学校の学生監並に弁論部員諸賢と、友誼篤き郁文堂書店田中君に対して、深く感謝の意を述べて筆を擱く
 
   昭和二年十一月   下谷池の端にて   交文”
 
序文自体が大言壮語、悲憤慷慨の寮歌調であることは当然かもしれないが、意気込みの上滑りを感じさせる。論理展開もやや強引だ。
 
しかし、“苦心と努力”は、誇張ではないと思われる。それは、“『カット』として挿入された、各学校の徽章”だけに係るものではないだろう。むしろ、数百曲の歌詞と曲譜を収集したことにこそ言えるのではないか。
 
このことに関連して、“御援助を給はりし、各学校の学生監並に弁論部員諸賢”が注目される。編者・神賀交文とは如何なる人物か。“学生監”すなわち学生の生活上の指導を行う教員に何らかの繋がりを持つ立場にあり、しかも弁論部の横断的組織にも繋がりのあったことが容易に想像される。その世界で無視できない影響力を有していた人物ではないか。
 
大変な意気込みで編纂されたのだが、目次に当たる「寮歌集索引」といい、表紙のタイトル「全國大學高等學校專門學校校歌集」あるいは「全國大學、專門、高等學校校歌集」といい、粗さ」が目立つ。これぞ、豪放磊落、寮歌精神の現れと見るか。
 
発行元、郁文堂は本郷通りに健在だ。
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