今週の月曜日の投稿(アメリカ独立記念日~球面三角形~多面体定理 2016/7/4(月))で引用したデビッド・S.リッチェソン「世界で二番目に美しい数式」の下巻に解りやすく、かつ、解り難いトポロジー的立体変形の事例が紹介されている。
解り易いというのは、その意味するところが一目瞭然だからである。解り難いというのは、その過程の図示が直ぐには呑み込めないからである(当方と違って明敏な方には笑われるだろうが)。
二つ穴のドーナツの立体形をダブル・トーラスと言う。その一つの穴に紐を通してぶら下げてある。もう一つの穴には紐が通っていない。トーラスの材質は粘土やゴムのように変形自在であるとする。トーラス又は紐を切り貼りすることなく、二つの穴に紐を通した形に変形することが出来るというものである。
予備知識が無ければ、そのような変形は不可能であると思うのが普通だろう(だから上掲書に態々紹介している)。図解を暫く眺めた後、解ったと思った。しかし、直ぐに誤解だと判った。何回か思考実験の末、漸く正解に辿り着いた。変形過程を動画で見せられればたちどころに納得できるだろう。想像力の貧困を嘆く。
本書の題名に採用された「世界で二番目に美しい数式」とは、 V-E+F=2 という簡単なもので、前回記したとおり、具体的には≪穴の開いていない多面体について 頂点の数- 辺の数 + 面の数 = 2 ≫である。
因みに、「世界で最も美しい数式」は
であるが、これは直観に訴えて来ない。