現在、アメリカ東部は日本時間に遅れること13時間なので、7月4日の朝を迎えている頃だ。独立記念日の朝である。さぞかし賑やかなお祝い行事が予定されていることと思われる。便利な万年カレンダーのサイトから引用すると:
≪7月 4 日 独立記念日(Independence Day)
(アメリカ合衆国)1776年、トーマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリン、ジョン・アダムスらによって作成された独立宣言書によって英国からの自由と独立を宣言し、アメリカ合衆国が誕生した。また、1584年にイギリスの探検家ウォルター・ローリーが、北米開拓の為にヴァージニア州に上陸したのもこの日だった。≫
唐突だが、幾何学の基本的な定理に≪三角形の内角の和は180度である≫というものがある。これは、平面上の三角形について当てはまる。球面上にも三角形を考えることが出来る。球面上の円で、その中心が球の中心に一致するものを大円というが、3本の大円で囲まれる三角形(大円三角形)を考えると、その内角の和は180度より大きい。
(図は 球面三角形の角度 [物理のかぎしっぽ] から拝借)![イメージ 1]()
このことは古代ギリシャのメネラウスが明らかにしたが、“どれくらい大きいか”、定量的に明らかにされたのは、約1500年も後だった。トーマス・ハリオットとアウベール・ジラールの二人によって独立に次の定理が証明された(簡単のため、半径1の単位球面、角度はラジアンで表わすとする):
≪大円三角形の内角の和≫―≪平面三角形の内角の和=π≫
=≪大円三角形の面積≫
トーマス・ハリオットはイギリスの科学者・研究者であったが、生前、成果を一つも発表しなかった。彼の遺稿から広まった記号が二つある: 大小記号 『>』 と 『<』 である。
彼は、1585年、ウォルター・ローリー卿によって測量技師・地図製作者としてアメリカ大陸への1年間の旅に出された。(以上、デビッド・S.リッチェソン/[著] 世界で二番目に美しい数式上 による。)
という訳で、アメリカ独立記念日と≪大円三角形の内角の和≫の数学者ハリオットが、探検家ウォルター・ローリー卿を通じて繋がった。情報元の一つ、「世界で二番目に美しい数式」は、オイラーの多面体公式すなわち
から、数学の様々な分野を興味深く解説してくれる素人向けの好書である。
(図は 正多面体 - So-net から拝借。)