ワグナーの歌劇≪タンホイザー≫についてお浚いするためにウィキペディアを覗いたら、1845年4月13日に全体の総譜が完成したとあった。着想から約3年であるが、当方には、その日付が強く訴えかけて来た。石川啄木の命日である。
ヤマハの≪おんがく日めくり≫の4月13日の項には、≪ヘンデルのオラトリオ「メサイア」アイルランドで初演(1742年)≫がちょっとした解説と共に載っている。≪ワーグナーのオペラ「タンホイザー」完成(1845)≫は解説無し列記の内である。
PR誌『學鐙』の春号(Vol.113No.1)に、青柳いづみこ「創造におけるオリジナリティとはなにか―――クロード・ドビュッシーの場合」というエッセーがあり、次のような情報が供されている:
≪ドビュッシーはストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』を大変評価しており、1912年4月13日付の手紙で、彼に賛辞を送っている。≫
大音楽家間の手紙の日付というだけでは特段の記念には値しないだろうが、これは、啄木の正に寂滅当日である。