お茶に関する講話を拝聴した:
第91回小石川植物園市民セミナー 日時: 平成 28年 6月 12 日(日)14時~16時
場所: 小石川植物園内 柴田記念館
講師: 加藤 美砂子教授(お茶の水女子大学基幹研究院) 演題:「お茶の科学」
日本人に親しまれているお茶は、学名をカメリア・シネンシスという、ツバキの仲間の低木から摘み取った葉で作ります。この葉には特有の成分としてカフェインやカテキンなどの二次代謝産物が含まれているため、私たちはその独特の味や香りを楽しむことができます。加藤先生は、植物としてのお茶に着目し、その起源や二次代謝産物の合成の謎に迫る研究を進めておられます。本講演では、最新の研究成果を交え、お茶の科学の奥深い世界をご紹介いただきます。
お茶の科学という標題だから、化学式や学術用語を遠慮なく使って、決して易しいお話ではなかったが、一般人が関心を寄せそうな事柄について、要領よくまとめておられた。図番豊富な20ページにも及ぶ資料は、主催者側の求めによるものではなく、全く加藤先生の御好意だそうだ。
我が新知識として、次のような事柄を記録しておこう:
人間に有用な植物の二次代謝の産物:スパイス、香料、薬、色素など
カフェインはアルカロイド
テアニンは非タンパク性アミノ酸(旨味成分)
カフェインを含む植物 チャ (ツバキ科) 葉に2~4%(乾燥重量)
コーヒー (アカネ科) マメに2~3%
カカオ (アオギリ科)マメに0.8%
(カフェイン類似 テオブロミン有り)
マテ (モチノキ科)葉に0.9%
飲料中のカフェイン量 コーヒー 60mg
(100mL当たり) 玉露 160
煎茶 20
紅茶 30
ウーロン茶20
緑茶にはサポニンが0.4%含まれる。(泡立つ原因)
渋みの正体 カテキン 2分子結合してテアフラビン(紅茶の色)
重合 → ポリフェノール = タンニン (総称)
ギャバロン茶 生の茶葉をチッソや二酸化炭素の中に保存すると
GABA(γ-アミノ酪酸)が20~30倍に増加する。
チャノキは“紀元2700年頃”に発見されたと仰った。配付資料にも、その通り記載されている。“紀元前2700年頃”のミスプリであることは自明だが、プレゼンにおいてもお気付きにならないのが新鮮な印象だった。