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年寄の達者春の雪~上田正昭~年寄りなりに続ける 

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“年寄りの”と来れば“冷や水”しか思い浮かばなかったが、≪年寄の達者春の雪≫という諺もあるそうだ。藤原書店のPR 2016.5 No.290)に掲載の『絶筆――古代史研究七十年の背景 上田正昭(20162) 』に引かれていた。
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上田正昭氏は日本史学者で、研究史七十年、八十一冊の著作をものした方だそうで、満八十八歳にしてなお、≪年寄りは年寄りなりに歴史を学んでいきたい≫と意気盛んな随想を今年2月に寄せられた。それが、ひと月後に急逝されたことで、上記『絶筆』(構成編集部)として再掲されたようである。 

 
上田先生は、≪毎日研究をしつづけてきた反動か、時間を過ごすのに苦労する時がある。≫と仰る。うっかり読み流してしまいそうな言葉だが、本当はどういう意味だろう。研究の手を休めたら、手持無沙汰で困るということか。以前ほどは研究に明け暮れることもなくなったということか。
 
続けて、≪老いをどう生きればよいのか。「春の雪」のようにすぐさま消えそうもない。≫と記された。やはり神ならぬ身、先を見通すことはできなかった、と言うより、学び続ける意思の現れだったと理解するべきだろう。当方、業績はゼロだが、先生の心意気には肖りたい。

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