中古舶来ヴイオリン壹面(無疵逸品) 価格三十一円
ヴイオリン銘 Antonius Stiabivarius “Beethoven”
附属品 腮当 Beckrs wooel chin rest
弓 L. Bausch
以上合計三十一円也(送料を除く)
「音楽界」大正2年8月号所載の売却広告である。“Stiabivarius”は
“Stradivarius”の誤植だろう。まさか故意ではないだろう。
さて、ストラディヴァリウスと聞けば、素人でもホホ―と感心する歴史的ブランド、品物によっては現今、億円単位で取引されるとか。キリの方はどれほどか寡聞にして承知しない。
上記広告品の31円という価格は凄いのか、大した事は無いのか、つい想像を巡らしたくなる。
同誌に≪スタンウエー 平台ピアノ 新荷着1600円≫の広告がある。
≪山葉自働ピアノ 600円、700円≫の広告もある。“自働ピアノ”とは、巻譜を挿入してペダルを踏むことによって奏楽を為すピアノで、普通に弾奏も可。
後続の号には≪ドイツ・ホーマアイヤ・ピアノ製造所 正価550円≫のアップライトピアノが載っている。