≪米国ボストン大学出身青年4人組の(キリスト教)宣教目的「世界漫遊音楽団」が明治45年5月31日午後7時から、神田青年会館で演奏会を開いた。アッケス、エバンス、トマス、シュリックの4名が歌った「バケツの歌」が大好評であった。彼らは東京公演の後、横浜、静岡、名古屋、京都の各地を巡業し、喝采を博した。大阪市では土佐堀青年会館で音楽界を催す予定である。≫
これは、明治末期の音楽雑誌≪音楽界≫の記事をメモッたものである。神田青年会館は、長らく神田美土代町にあったYMCA会館の旧称であると思われる。学卒4人組のコーラスで連想されるのはダークダックスなどのグループ。「世界漫遊音楽団」は半世紀ほどその先駆けか。
明治45年(1912年)5月31日と言えば、ちょうど2か月後7月30日(明治天皇没)に大正時代が始まっている。御不例から没後にかけては歌舞音曲が制止されるので、「世界漫遊音楽団」の巡業は際どいタイミングだったようだ。
大好評だったという「バケツの歌」を検索したところ、次の歌詞が該当すると思われた:
“There's a Hole in My Bucket”(Myはtheとも。)
There's a hole in the bucket, dear Liza, dearLiza,
There's a hole in the bucket, dear Liza, a hole.
Then mend it, dear Henry, dearHenry, dear Henry,
Oh mend it, dear Henry, dearHenry, mend it.
With what shall I mend it, dear Liza, dear Liza?
With what shall I mend it, dear Liza, with what?
Try straw, dear Henry, dearHenry, dear Henry,
With straw, dear Henry, dearHenry, with straw.
~~~~~
In what shall I carry it, dear Liza, dear Liza?
In what shall I carry it, dear Liza, in what?
In a bucket, dear Henry, dearHenry, dear Henry,
In a bucket, dear Henry, dearHenry, in a bucket.
But there's a hole in my bucket, dear Liza, dear Liza,
There's a hole in my bucket, dear Liza, a hole. (Wikipedia)
おどけた歌のようだ。これを身振り手振りで、面白おかしく歌ったので、日本人の聴衆にも受けたのだろう。本邦初演なのだろうか。
NHKみんなのうたでも取り上げられたそうだが、未聴。