副都心のランチタイムコンサート、今日は開演にピッタリのタイミングで到着、旨い具合に見つかった空席で気持ち良く楽しんだ。
第407回 昭和最後の音楽三人旅~恋するタケミツ~
内田智子(ソプラノ)/深瀬廉(バリトン)/圓谷俊貴(ピアノ)
Aプログラム12:05~
1 僕の想いすべてが F.ダーン/R.シュトラウス [深瀬]
(ピアノと同時の歌い出し、珍しい曲だと思う。直前に、そっと音合わせをするのかな。)
2 饗宴 カルロ・ペポリ/ロッシーニ [内田]
3 赤とんぼ 三木露風/山田耕筰 [深瀬]
(句節の出だしの発音が絶妙。)
4 めぐり逢い 荒木一郎/武満徹 [深瀬]
5 うたうだけ 谷川俊太郎/武満徹 [内田]
6 死んだ男の残したものは 谷川俊太郎/武満徹 [二重唱]
(深瀬、内田の順でソロ、次に交互に歌った後、転調して二重唱)
4~6 ~songs~より
Bプログラム12:35~
1 この道 北原白秋/山田耕筰 [内田]
(尾を引きながらスーッと消えていく納め方が見事。)
2 お前こそ心を汚すもの A.ソンマ/G.ヴェルディ≪仮面舞踏会≫ [深瀬] (好対照で、劇的に盛り上げて見事に終わる。)
3 庭へ行きましょう L.A.メイ/N.リムスキー=コルサコフ≪皇帝の花嫁≫
4 ぽつねん 谷川俊太郎/武満徹 [深瀬]
5 翼 詞・曲 武満徹 [内田]
6 小さな空 詞・曲 武満徹 [二重唱]
(内田、深瀬の順でソロ、次いで二重唱。)
4~6 ~songs~より
二人とも伸びのある若々しい声で、非の打ちどころ無し。隅々まで丁寧な発音にも感心する。
チラシのプロフィールも面白い。深瀬が“学部を次席で卒業”とある。“首席で”はよく見るが。一種のユーモアなのか、それとも、次席も凄いというのが普通の受け止め方なのか。
ピアニストの圓谷は、“つぶらや”ではなく、“つむらや”と仮名が振ってある。マ行とバ行は発音の交代が珍しくないとは言うものの、これは初めて見た。
コンサートのタイトルが≪昭和最後の音楽三人旅≫とあったので、ほぼ察しはついていたのだが、出演の3人は、年号の切り替わる前後、すなわち1988~89ねんの生まれであると、内田が明かした。現年齢がほぼ27、8歳という計算で、内田が修士1年次、圓谷が学部4年次とあるから、二人とも幅広い経験を積んで来ていることが判る。
今年は武満徹没後二十年だそうで、副タイトル~恋するタケミツ~として彼の作品を6曲(つまり半分)歌ったのだが、どれも難解な現代音楽風ではなかった。素人にも馴染み易い歌を結構作っていたのか。偏見を改めなければ。