Quantcast
Channel: 愛唱会きらくジャーナル
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1579

無限小の危険思想~無限大~有限数量

$
0
0
アミーア・アレクサンダー[]「無限小世界を変えた数学の危険思想」(2016/2/13())は、古代ギリシャのユークリッド、アルキメデス流の数学(幾何学)の基本思想である演繹法と、ルネサンス以降の実験的科学の基本思想である帰納法との角逐を、キリスト教世界におけるカトリック対プロテスタントの攻防の形で語る大変ユニークな書である。
 
著者によれば、本来数学の問題である≪無限小≫に関する理論闘争が、キリスト教世界の覇権争いと一体化し、必然的に政治闘争、戦争に及び、ヨーロッパ、ひいては世界の歴史を左右したとなるらしい。本当にそうなのかどうか、歴史家による追試が待たれる。
 
日本史でかなりの存在感を示す≪イエズス会≫がその宗教闘争におけるキープレーヤーだったとか、そっくりの名前の≪イエス会≫も絡んでいたとか、個別に面白い話題も豊富だ。
 
≪無限小≫そのものを論じてはいない所がやや物足りないが、それは欲張り過ぎと言うものだろう。それでも、ガリレオやトリチェリ―らが利用した無限小の数学的手法の説明は十分に興味を惹く。無限小の無限大個の和で有限の数量を構成する方法はとても魅力的だ。現代では積分法で通り過ぎるところだが、知的遊戯として面白そうだ。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1579

Trending Articles