≪一高門札紛失事件≫の絡みで過去の気象データを見ていたら、面白い傾向が目についた、と思った。近年の傾向で、3月下旬の半ばごろに気温の谷が見られるのだ。気象庁のデータから抜き出した日平均気温の表で背景を黄色に塗った年がこれに該当する:
3月 日 | 2015年 | 2014年 | 2013年 | 201年2 | 2011年 | 2010年 |
22 | 12.9 | 9.3 | 13.2 | 10.1 | 6.9 | 9.8 |
23 | 10.7 | 11.6 | 13.7 | 9.9 | 6.4 | 10.9 |
24 | 8.2 | 13.6 | 11 | 8.4 | 5.4 | 6.9 |
25 | 8.1 | 16.6 | 9.8 | 9.1 | 8.1 | 5.3 |
26 | 9.5 | 16.4 | 9.4 | 8.2 | 7.4 | 7.9 |
個人的には面白いのだが、考えてみれば、客観的には特段の意味付けは無い。はっきり言って、たまたまそのような時期があったに過ぎない。もっと長期のデータを見れば、全体としては平均化されて、このような気温の谷は消えるに違いない。
大体、冬から夏にかけて、平均気温は緩やかに上昇するが、右上がりの直線状に推移する訳でもない。波のようにうねりながら上昇する過程となるのだから、途中に山や谷ができるのが当然だ。その谷の一つが3月下旬の半ばごろに現れる確率はかなり高いと見てよい。
一高最後の日であった1950年3月24日の最低気温は-1.2℃であった。多分、当日早朝に記録されたものだろう。前日は1.6℃、翌日は5.2℃であった。東京の3月下旬に気温が氷点下になるのは珍しくないのか、調べてみた。
1949 ← 1948 ← 1947 ← 1946 ← 1945
0.9 -1.4 -0.5 0.3 0.2
1951 → 1952 → 1953 → 1954 → 1955
1.0 2.4 2.6 3.3 4.4
以前にはちょくちょく氷点下になっているようだが、以後は珍しいようだ。因みに、近年のデータを遡って見ると、2015年から2000年までは次の通りだ:
2.7 5.1 5.5 4.2 2.7 1.2 3.6 5.7 5.4 4.0 3.9 2.8 3.7 5.0 1.8 3.2
上記1950年前後の記録と併せ見ると、温暖化傾向が直観的に見てとれる。気象庁のコメント:
“日本の年平均気温は、長期的には100年あたり約1.16℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています。”
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。