著作権法(に由来する料金徴収の実行部隊たるJASRAC)に恐れをなして、不特定多数のお客さんに歌って頂く体験合唱を諦める訳には行かない。
手ごろな合唱曲が無いか、あれこれ思案した結果、季節に相応しい“雛祭り”の歌を当たることにした。古くから童謡・唱歌の材料として重宝されており、十指に余る作品を過去に見たことがある。
最も有名なのはサトウハチロー(1903年5月23日~1973年11月13日)/河村光陽(1897年8月23日~1946年12月24日)の「うれしいひなまつり」だが、作詞のサトウが保護期間内だ。
白羽の矢(?)が立ったのは:
雛祭り 作曲 藤井清水 1889年生1944年3月25日没
作詞 永井花水 1890年生1955年4月13日没
一 今日は樂しい雛祭り きれいに並んだお雛様
ほんのり赤い雪洞に ほんのり赤い桃の花
二 今日は樂しい雛祭り きれいに並んだお雛様
甘い白酒たんとあがれ 赤いお菓子をたんとあがれ
独唱譜しか見当たらないので、カンを頼りにカンタンな二部合唱譜を用意しよう。「花」を1~3節全部合唱練習するのに比べると随分時間を節約できる。“禍を転じて福と為す”結果となるか。
“たんと”は子供の頃よく耳にした副詞だが、てっきり方言だと思っていた。共通語だったのだなあ。近頃はあまり使われないようだが。消えゆく古風な単語なのか。
一、二節とも“今日は樂しい雛祭り”で始まる。この表現は、「うれしいひなまつり」の第一節結びにも使われている。応用形が第四節結びの“なによりうれしいひな祭り”と見られる。
蛇足:永井花水は石川啄木と命日を一にする。