中村亨「リーマン予想とはなにか」には、読者を混惑させる記述が他にもある。例えば:
“ある自然数Nで、N以下の差を持つ素数の組が無限に存在するような、そのようなNが、少なくとも1つは確かに存在する”
この命題の意味するところが即座に汲み取れるだろうか。実は、これに先行して“双子素数”が取り上げられている:“59と61のように、相続く奇数でどちらも素数である組は、双子素数と呼ばれます。”
これは、差が2である素数の組であって、そのような組が無数にあると予想されている(双子素数予想)。上記命題は、簡単に言えば、“一定の差を有する2素数の組を無限に多く含む集合がある”となる。“双子素数予想”は、その一定の差が2である場合を想定するものだ。
この続きで、“素数の中にはいくらでも長い等差数列が存在する”というグリーン=タオの定理が紹介されている。そのような等差を特定できれば、素数はいくらでも“作れる”のだが、特定できないのが泣き所だ。
最大素数を見つけ出すことに努力を傾けている数学者グループがある。その一つ、GIMPS(Great Internet Mersenne Prime Search)が最大素数の記録を更新したというニュースが、出回っている:
≪これまでで最大となる2,233万8,618桁の素数(49番目のメルセンヌ素数)が、昨年9月に発見されていたことが判明した。過去最大だった48番目よりも500万桁大きい。2016.1.22 FRI≫(https://wired.jp/2016/01/22/discover-your-own-prime-number/)
≪GIMPSが発見したメルセンヌ数は、これまで2013年に発見された48個目(257885161 - 1が最大だった。今回発見された49個目のメルセンヌ数は274207281-1≫(http://ascii.jp/elem/000/001/107/1107594/)
IMAGE COURTESY OF GIMPS
TEXT BY K.G ORPHANIDES
TRANSLATION BY HIROKI SAKAMOTO/GALILEO
WIRED NEWS (UK)