中村亨「リーマン予想とはなにか 全ての素数を表す式は可能か」(講談社 2015.8)を読み始めた。数か月前に借用予約をしたものだ。
“「リーマン予想」というのは、~~~、「リーマンのゼータ関数と呼ばれる複素数の関数の値が、どのような場合に0(零)になるか」という問題です。~~~リーマンのゼータ関数がどのような場合に0になるかを完全に知ることによって、原理的には「全ての素数を知ることができる」ようになるのです。”
≪はじめに≫でこのように“簡潔に”的を絞っている著者は、数学に詳しくない人にもそれなりに読めて、理解できるような構成にしたとのことである。
その為か、素人向けに書かれた部分は冗長で、重複が多いような印象だ。かと言って、≪リーマン予想≫の何たるかが解り易くなっているとも感じられない。やはり、本質的に、≪リーマン予想≫は素人向きではないのだろう。
数学の復習をさせて貰えるのは有難い。忘れっぽい年頃だから、この手の本は何冊読んでも、忸怩たる思いに退嬰する必要は無い。≪リーマン予想≫の本質には一向に接近できないのだが、記述に疑問点が見受けられるので、記録して読書記念としよう。
“π(x)の値が(整数+1/2)(このような整数は、半整数と呼ばれます)となるxこそ、素数に他ならない”とある(p.19)。読者は混乱を来さないだろうか。
“π(400000)=33859とLi(400000)=33922.621995で相対誤差(両者の差の400000に対する割合)は0.02%より小さい”とある(pp.22-23)。これは引用されている部分であるが、“(両者の差の400000に対する割合)”は著者による挿入であると思われる。
“400000に対する割合”は意味があるだろうか。“33859に対する割合”の誤りではないのか。ところが、0.02%が妥当するのは400000に対してであり、33859に対しては0.2%が妥当である。かなり混乱する。