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早坂暁~井上成美海軍中将~英語教育

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藤原書店のPR誌≪機≫は小さくて薄いが、面白いし、為になる。いつもタダで読んでいるのが申し訳ないほどだ。このところ、いわゆる戦後70年に因んで、連載「戦後七十年に、憶う」と題して、著名人の短い随筆を載せている。
 
先月号(2015.11 No.284)は、三浦朱門「もう70年」、野上照代「竹内浩三を殺した戦争を憎む」、早坂暁「生きたくば蟬のよに鳴け八月は」の3本である。
 
早坂は作家だそうだが、文学趣味の無い当方には無縁の人である。彼は1929年生まれで、敗戦時、15歳だった。海軍兵学校の生徒であった。海軍体操を指導した堀内大佐(パレンバン油田制圧の空挺団隊長だそうだ)が英語で号令をかけたのだそうだ。
 
“ホップ・ステップ・ジャンプ”
 
英語は敵性語として禁止されていたにも拘らず、校長の井上成美中将は、生徒たちに英語を勉強させ、“戦後の日本の尖兵”としようと考えたのだという。軍備ではなく、外交力で国を守れという意味だそうだ。勿論、負け戦を前提としている筈だ。
 
この話の真偽は、当方には判断できないが、多分、本当の事なのだろう。どうして、此処に描かれた井上成美のような、まともな人が国の中枢権力の座に就かないのだろう。当時も、今も。
 
ところで、このPR誌≪機≫は、全体的に、いわゆる反体制的な論調が優勢である。早坂の文章もかなり烈しい。こんな調子でいつまで順調に発行し続けられるのかと些か心配する読者を安心させる狙いがあるのかどうか、末尾の「出版随想」がしっかりとバランスを取っている。
 
それは、先月(10月か)20日に“八十一歳のお誕生日を迎えられた美智子皇后が、宮内記者会の質問に答えられたお文章”の一節である。内容は省くが、“何と言う目配り、気遣い、配慮の行き届いた言葉であろうか”と讃嘆している。
 
批判精神を失わずに体制内で生き続けるには、それなりの知恵や工夫が必要だ。
 

下種の勘繰りだったかな。

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