≪音楽界≫シリーズは第4巻第9号(明治44年9月号)、目次をみると、所載4楽曲の第1は、「帰郷」(重音唱歌曲 葛原滋)とある。
作詞者名に惹かれて曲譜のページを見ると、 「帰郷 TheGolden Rule」 school songとあるではないか。劣化した我が記憶装置ながら、唱歌「灯台守」元歌探索が蘇る。
音符を追い掛けると、紛れも無く「灯台守」だ。“TheGolden Rule”の曲が、「旅泊」や「助船」の題で明治唱歌に使われたことは諸資料に教えられたが、「帰郷」は初見だ。
作詞者は高名な葛原滋だから、もっと知られてもおかしくはないと思うのは、後知恵と言うものか。当時、葛原は弱冠25歳の青年であり、大和田建樹(旅泊)や佐佐木信綱(助船)ら大御所と同列に見てはいけないのだろう。