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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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さよならバビロン~原発回帰~リニア新幹線

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「日本鉄道歌謡史 2 戦後復興~東日本大震災」の最終「第IX章 さよならバビロン」は異色である。そもそも各章題が殆どお馴染みの曲名に因んでいるのに、この“さよならバビロン”は何だ、と思ったら、これも曲名だった。詞/曲/歌・リクルマイとある。イメージ 1
 
今度は、“リクルマイ”? 記述の体裁から、明らかに人名だ。中近東系の人物か?読み進むと、“彼女は~~~宮古市の出身”と書いてある。女性である。“(東日本大震災の)翌年にリリースされた彼女のアルバム『ダブ イズ ザ ユニヴァース』”とあれば、やはり外人タレントかと思う。
 
まだるっこいので、ウィキペディアを参照した。人種については記述無し。アルバム名はDUB  IS THE UNIVERSE」と判明した。意味が解らない。文型からは、“宇宙はダブ(形容詞)”の倒置の印象を受ける。
 
辞書を参照して、≪dub5 [][U]ダブ:Reggaeの音楽に合わせて歌う西インド諸島の詩.≫を見付けた。これなら単純に“詩は宇宙である”と解釈できる。何とまあ難しいタイトルを付けるものだ。尤も、音楽は先ず聴いてから批評してくれ、と言われそうだな。
 
本線に戻って、「第IX章 さよならバビロン」だが、内容は、3.11大震災・原発事故以後の急速な原発回帰を許した社会への痛烈な批判ないし焦燥である。直接には権力機構(政府)の反民主的政治への抗議であるが、声を上げない(行動しない)国民大衆に危機感を募らせる。
 
その気持ちを「さよならバビロン」に託しているのだ。この歌の題意は、レゲエの知識が無いと理解できないらしい。“バビロン”は、紀元前、現バグダッドの近郊に栄えた古代都市の名であると同時に、レゲエ発祥の地ジャマイカでは、“貧しい弱者を支配し搾取し続けることで富める強者がますます富み強くなっていく現代社会”をも意味するという。
 
という訳で、リクルマイさんは所謂反体制派の歌手なのだ。眠れる大衆の目を覚まさせようと歌い続けているのだ:
 
“欲望という名の電車に きゅうくつな姿で押し込められ
 
人々はね除けるように ドアは閉じる
 
誰もが望んでいるようで 実は望んでいない方向に
 
片道レールの上を 電車は進む
 
~~~
 
~ さよならバビロン 流浪の民が築いた華やかな都
 
でもハマりすぎると溺れるだけの甘苦く酷な都
 
~~~
 
さよならバビロン 電車を降りて反対の方向へ
 
さよならバビロン 歩いてゆくわ独りでも誰とでも”
 
鉄道の一形態である電車の寓意を籠めたこの歌に絡めて、著者は更に「リニア新幹線」事業発車に対する疑問を投げ掛ける。短期的な投資収益ばかり宣伝し、未完成な技術の暗部をひた隠し、安全神話を大衆の頭に刷り込み、いざ大事故の時には誰も責任を取らなくてもよい前例を確立するムラ体制の危険を叫んでいるようだ。
 
実に、「日本鉄道歌謡史」という地味な表題に捕われない壮大な社会思想論への発展を予感させる最終章である。著者の野望の膨らむ様が目に見えるようだ。
イメージ 2イメージ 3

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