昨日のニュースで、音も商標として登録し、無断使用を禁止できることになったということだ。もともと、音楽は著作権の対象として保護されているから、音が商標というジャンルで認められても特段目新しくは感じない。
日経ニュース
音・動画などの新商標、第1弾43件認定 特許庁 公開日時 2015/10/27 12:34
特許庁は27日、音や動画など新しい形態の商標の第1弾として43件を認定したと発表した。久光製薬や味の素がCMで自社名を歌った音、エステーや東宝がCMや映画の冒頭で流している自社ロゴの動画などが登録された。欧米ではこうした商標は既に導入済みだが、日本の商標は文字や図形のみだった。
商標は企業や個人が自社や商品のブランドをロゴなどのイメージとして権利化したもの。各国の特許当局に登録すれば、偽物などから自社ブランドを守れる。音や動画などが加わることで、商標の幅が広がる。
新しい形態の商標は(1)CMなどに使う音(2)企業のイメージカラーなどの色(3)アニメーションやCG(コンピューターグラフィックス)のような動画(4)文字や図形の組み合わせ方法である位置(5)ギフトカードなどに貼るホログラム――が対象となる。~~~
誰もが知っている「あの色、音、動き」も商標 2015/08/14 弁理士 富沢正氏
商標は日夜進歩しています。立体商標が新しく認められたように、そのバリエーションはどんどん増えています。 たとえば、音の商標です。外国で登録されている日本の企業の事例としては、たとえば久光製薬株式会社のコマーシャルで流れる、あの「ヒ・サ・ミ・ツ」という音もアメリカで登録されています。~~~
実は、個々のニュースだけでは、「音」のどの要素が商標を構成するのか曖昧なのだが、上記二つの記事からすると、“メロディ”プラス“ことば”の一体となったものが商標として認められるようだ。つまり、“歌”の著作権と同様なものらしい。
ところで、初めの記事に含まれている「久光CM」のメロディなるものは、実はロシア民謡「ステンカ・ラージン」の一部なのだ。まさか、調が異なるから別物だと考えるわけでもなかろう。楽譜を見れば、「久光CM」を知らなくとも、ステンカ・ラージンのメロディが浮かぶ。
右の歌詞で、“のながれ”の部分が該当する。民謡だから、リズムにはヴァリエーションがある。
ちなみに、別の楽譜では、下二つの通り、「久光CM」と同じリズムである。
さて、商標登録は先願主義で、手続きの早い方が勝ちだとすると、古くからある歌のメロディでも、我先にと登録すれば独占使用権を得られるのか。まさかそんな事は無いと思うが、「久光CM」は何故認められたのか。