昨年、やなせたかし作詞・木下牧子作曲「さびしいカシの木」を二部合唱で歌っていた(ヴェゲナー《大陸移動説》~コールハーゼ~樫の木 2014/5/10(土))。歌うたびに連想したのが所謂ロシア民謡「小さなグミの木」だった。
“グミの木”と和訳されているが、原義は“ナナカマド”であることは周知の通りである。北国さくらの会では原義に忠実に
“何故揺れてる 華奢なナナカマドよ 頭 (こうべ )を垂れて 垣根を撫でて
道を越えて 広い川の 向う岸に独り 高いカシの木が”
などと独自の訳で歌った(さくらの会~世界の歌~ア・カペラ完遂 2013/10/6(日))。とにかく、“カシの木”が向こう岸に立っていて、華奢なナナカマドの木は寄り添えないという寂しい様子が歌われているから、“さびしいカシの木”に通じる気分になるのだ。
最近、同じ詩に別の曲が付けられていのに気が付いた。作曲者は西脇久夫となっている。検索したところ、≪NHK みんなのうた≫で1971年08月-09月に放送されたとあった。メロディーには、寂しそうな雰囲気は感じられない。おまけに、各節末尾に“ラララ、、、”と9小節も付加されているから猶更だ。
と言っても、けなしているのではない。タイトルが仄めかすような深刻さとは無縁の淡々とした、乾いた感じの歌に意図的に作ったものと想像される。事情は、木下版でも同じと推察される。ウェットな短調の曲は、近頃のホームソングや合唱曲としては流行らないのだ。
更に偶然ながら、「さびしい樅の木」なる曲名に出会った。Eメールで送られてきたあるピアノリサイタルのプログラムに挙げられていた:
シベリウス:樹の組曲op.75
Ⅰビヒラヤの花咲くとき、Ⅱさびしい樅の木、Ⅲポプラ、Ⅳ白樺の木、Ⅴ樅の木
こちらは“モミの木”、いかにも北欧に相応しそうな樹名だ。どんな曲か、これから試聴するとしよう。