藤田宜永/著「血の弔旗」(講談社 2015.7)を図書館から借りて読んだ。順番待ちの状態だから、結構話題の本なのだろう。そもそも借用を申し込んだのは、例によって新聞の書評に触発されたからに相違ない筈だが、何故興味をそそられたのかも覚えていない。宣伝コピーの≪あらすじ≫は大体次の通り:
“戦後の混乱期に金貸しをはじめて財を成した原島勇平の屋敷から岩武弥太郎、宮森菊夫の二人と共に現金11億を奪う強盗計画を(1966年の敗戦記念日に)実行にうつした根津だったが、アクシデントにより屋敷に居合わせたクラブのママを射殺する。
この強盗計画にはもう一人、川久保宏が関わっていた。彼の役割はアリバイ工作。4人は奪った金を隠し、4年後の山分けを約束する。
事件は大々的に報道され、根津は厳しい取り調べを受けるが、4人の繋がりは誰にも知られず未解決のまま時は過ぎた。
戦時中4人は疎開の為、別々の出身地からほんの僅かな期間、長野県の郊外で机を並べた仲だったのだ。
事件後、根津は疎開先で世話になった教師・栄村の娘・鏡子と再会し関係を持ち結婚する。約束通り、1970年の終戦記念日に11億を取り出し分配した彼らは二度と会うこともないはずだったが、10年の歳月が過ぎ、新たな事件が彼らの身の周りに次々と起こる。「誰が何のために?」”
かなり大部な単行本(580pp. 20cm)なので、時間を喰ったが、何とか読了した。正直言って、後半に入ってからは、適当に飛ばし読みしたくなることもあった。つまり、さほど面白くなかったのだ。何故かと言えば、筋書きが余りにも(小説作りに)都合の良い偶然の連続に満たされていて、幻滅なのだ。
滅多に起きない筈のことが現実には起きるというのは真理であるが、それも程度問題だ。作り過ぎて現実味の薄い小説には興醒めする。もうひとつ、この小説には、所々、誰の言葉か咄嗟には理解できない台詞がある。当方の貧脳を責めるべきかも知れないが。
ただし、感心したこともある。作中、具体的な出来事の場面は必ず年月日が判るように書かれており、曜日もほぼ付記されていて、それが正確であることは、当たり前かも知れないが、天候の記述も(確認した限りでは)過去の気象データを踏まえて、事実通りとなっている。著者の趣味かも知れないが、結構手間暇のかかることだ。
最後に著者略歴を読み、彼の有名な“直木賞”を受賞していることが判った。
それにしても、この本が書評対象になったのは何故だろう。今年が敗戦後70年の節目の年だからだったかな?
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