≪東京大学理学部ニュース≫という薄冊の広報誌(隔月刊)は、素人向けに編集されているようで、自然科学の最先端の話題を簡潔に紹介するなど、読み易く出来ている。最新の9月号に、≪学部生に伝える 研究最前線 CASE 2 超高解像度でせまる太古の銀河のすがた≫と題して、重力レンズ効果を活用した研究成果が紹介されている。
読んでみると、当ブログで以前取り上げた写真ニュース関連の記事(重力レンズ~リング状映像~同心円状複数映像 2015/6/9(火))の元ネタであった。研究者自身による解説である。“重力レンズ効果は、、、、なかでも、距離の異なるふたつの銀河が視線方向にほぼ完全に重なるときにだけ生じる「アインシュタイン・リング」は、、、”と書かれていることで、遠方天体の光が円環状に見えることが何となく納得できた。
と言っても、“実際には一つしかない遠方天体の光が複数に見え”る理由は依然として納得できておらず、“重力レンズの作用をする大質量天体が単純な球状ではなく、程良く離れた複数の質量源から成る場合に、遠方天体が複数の像を結ぶのだろう”という想像の域を出ない。
遠方天体の光が複数に見えたり、円環状に見えたりする、と簡単に言うが、彼ら専門研究者は、観測結果を理論モデルによって高精度で補正して、銀河など天体の構造を研究しているのだ。“牛乳瓶の底を通してながめた風景を手がかりに、瓶の底のガラスの厚みとその向こうに広がる風景を同時に推定することに似ている”そうだ。