古い歌の楽譜を手に入れるには、公的な図書館などを利用することもあり、古い刊行物を買う場合もある。後者は主に古書即売展を渉猟したり、古書目録から注文したりする。
“野行き山行き~九條武子~仏教讃美歌 2014/1/15(水)”でネタ元とした「国民歌謡 名曲集 1」は、偶々古書展で見付けたものだ。どんな曲が収録されているかに主たる関心があるのだが、時には思いがけない“発見”もある。
今回の名曲集は、1,2の2冊を入手し、どちらにも個人の蔵書印が明瞭に残っていた。だから当管理人が迷う事無く買える程の安値が付いていたとも言える。
旧所蔵者の氏名には関心も無かったのだが、後日、ふと気になり、調べてみた。その人物は相当に知られた作曲家であると判明した。
同姓同名の別人物である可能性は否定できないが、状況証拠により、某作曲家であると断定した。彼は二十数年前に没しているので、今回その旧蔵本が古書業者の手に渡ったのは、遺族が遺品を整理したなどの事情が考えられる。宝の山の“うぶ荷”に巡り会いたかった。
その作曲家の名前は知らなかったが、その手になるヒット曲は我が愛唱歌中にも幾つかある。昨1月21日が彼の誕生日だった。考えて見れば、好きで歌っていても、作詞・作曲者名を覚えている曲は多くない。
ところで、昔、湿式複写という方式のコピーが普通だった時代があった。青焼きとも言った。今どきのコピー機は乾式ということになる。コストの違いで、湿式を使うよう指導されたものだ。
ある時、湿式複写の手書き楽譜を買ってパラパラめくっていて、その曲の作曲者自身の書き込みのあることに気が付いた。出版もされている有名な作品なので、その前の段階、ひょっとして初演時の楽譜かも知れない。