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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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富士登山演奏~帝国音楽会~戸山学校音楽隊

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一昨日、「富士の山」を書いた。もう一つ、富士絡みで古い話:
 
“音楽家の富士登山
 
幼児でも、障害者でも富士に登る。音楽家の登山も不思議ではないが、高山音楽の研究という破天荒の企てがあった。
 
帝国音楽会と陸軍戸山学校音楽隊の有志、加えて五十余名の野次馬の一行が、銀座4丁目松本楽器店を先達として7月24日東京を発ち、25日には富士の7,8合目に分宿し、26日に山頂に達して音楽会を開いた。
 
戸山隊は、日頃の訓練もあり、軍楽長永井建子君の指揮の下、ワグネルの「歌匠の長」、ヴァッテールの「瞑想」2曲を奏し、更に富岳も揺るげよばかり群衆「君ヶ代」を唱和し、無事に演了した。
 
気の毒なのは帝国音楽会の一行で、空しく楽器を抱いて茫然としていた。かく言う記者も7合目から上は命から〴乾板の百枚も潰す意気込みであったものが、お鉢回りも抜きにして逃げて帰った。
 
一片の好奇心を満足させるには余りに代価が高すぎる。永井君曰く『先づ申訳は済んだが、ドーセ本物ぢゃありません。第一息が続かぬから、長いものは絶対に駄目です。』(愚樂子)”
 
明治42年ごろの写真雑誌「グラヒック」(1巻15号)に載っていた話題。奇抜な企てを茶化し気味に紹介している。
 
山頂での演奏写真の説明では、“睡眠不足、激動過労、加うるに粗悪の食物に苦しめられたる戸山学校音楽隊の有志は~空前なる山頂音楽の実験を試みた。コリャ乞食の楽隊みたやうだなんどゝ・・・・誰ぢゃ失敬な!”と、とどめを刺す。
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