ヴォランティア・グループでこの夏歌っている1曲、ドイツ歌曲「野ばら」の原詞第1節は次の通り:
Heidenröslein (Johann Wolfgang von Goethe)
Sah ein Knab ein Röslein stehn,
Röslein auf der Heiden,
War so jung und morgenschön,
Lief er schnell, es nah zu sehn,
Sahs mit vielen Freuden.
Röslein, Röslein. Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.
これの英訳例:
Heather Rose
Once a boy a Rosebud spied,
Heathrose fair and tender,
All array'd in youthful pride,--
Quickly to the spot he hied,
Ravished by her splendour.
Rosebud, rosebud, rosebud red,
Heathrose fair and tender!
(1779, translation byEdgar A. Bowring, 1853)
“Heidenröslein”の和訳が言うまでも無く「野ばら」で、本文中“Röslein auf der Heiden”と丁寧に表現される。上記英訳例では“Heathrose”と、これはずばり直訳である。ただし、“Röslein”は“Rosebud”と、芸の細かい面もある。
昔から気になっているのが“Heath ヒース”である。ドイツ語では“Heide”(Heiden の原形)で、素人目にも英独同根と解る。
“Heath ヒース”の意味が曖昧模糊のまま永年過ぎた。何となく「茨 いばら」のようなイメージを想像していた。「茨 いばら」の意味も曖昧で、棘のある灌木という程度にしか理解していなかった。
しかし、“Heath ヒース”には植物そのものに留まらず、その繁茂する土地の意味もあると教わり、実はこちらが本義で、植物の方は本来“Heather ヘザー”と言うらしいとか、真偽不明の情報を注入されて、益々頭が混乱して来た。
日本語で検索すると、「茨 いばら」はバラであると解説するサイトもある。
しかし、「ヒース」は和名「エリカ」の英名であるとするのが単純明快で、結論にふさわしい。ヒースから野バラを連想するのは、名詩“Heidenröslein”の影響を受けた結果らしい。