昨2014年の12月22日は19年に一度の“朔旦冬至”ということで、結構話題になったように記憶する。当管理人もどこかで取り上げたような気がするが、しかとは思い出さない。その僅か半年ばかり後に、それに輪を掛けて珍しい言葉に出会った。
岡本和夫/薩摩順吉/桂利行/著「数学理性の音楽 自然と社会を貫く数学」(東京大学出版会 2015.4)を読み始めたところ“甲子朔旦冬至”が目に飛び込んできた。
本書の紹介コピーは、“身近な世界と深くかかわる数学の世界にようこそ。微分方程式と整数を中心とした代数学の2点をテーマに、自然や社会と深く関係した数学を紹介する。”となっているが、大学の数学教科書の一種である。
数学の発達過程における天体観測、暦を述べる中で、中国の太陰太陽暦に19年周期の考え方があることを説明し、更に76年周期、1520年周期も使われたと言う。この1520年周期では、日の干支が一巡するのだそうだ。
問題の“甲子朔旦冬至”だが、“11月朔日(1日)、新月の日の朝が冬至で、しかも甲子の日”を指し、めったに起きない特別の日であって、暦の始まりの日とされているという。
数字マニアたる身、76=19x4 1520=76x20=19x80 なる関係に気が付く。元になるのは19年周期だ。これは、月の公転周期が太陽日の29.53日と半端の数字になるので、暦と季節とのズレを調整する閏月を(7回)入れる間隔である。
ただし、ネット検索でみたところ、“甲子朔旦冬至”の周期は 19x60=1140年であるとする説がある。こちらの方が、干支一巡の60年周期の倍数で解り易いのだが、どちらが正しいのだろう。実際の“甲子朔旦冬至”は、暦法の改正などもあって、必ずしも計算通りではないとしても、数学的にはどうなのだろう。