当会の第171回練習例会、久々に啄木短歌三首(やわらかに、不来方の、あめつちに)を歌った。主旋律は覚えているのに、担当した低音部を忘れているのには、我ながらガッカリした。一度おさらいすれば直ぐに思い出すのだが、やはり年取ってからの記憶は根が浅いということか。
課題曲の「われら愛す」と「我が手の花」の外、「鉄腕アトム」、「梅雨の頃」、お楽しみとして、「山のロザリア」、「母さんの歌」、「湯島の白梅」などを歌った。
季節の歌として、一昨日取り上げた権藤はな子/弘田龍太郎「お盆が来るから」を自習した。童謡だから音取りなどには問題は無いのだが、メロディーには気の利いた仕掛けのあることが判った。
“機織虫(はたおりむし)の 母さんは とんから とんから お機(はた)をり”の8小節は八分音符刻みで、如何にも忙しく機を織っている感じを出している。続く“お盆が 来るから 忙(せわ)しかろ”の8小節は四分音符、二分音符中心で対照的にゆったりした感じだ。
終りの“子供が 大勢(おおぜ)で 忙(せわ)しかろ”の4小節は、始めの忙しい雰囲気に戻る。これだけの仕掛けだが、曲が引き締まって、童謡などと侮れない芸術的ニュアンスを醸し出している。
Mさんが、“どこかで聞いたことのあるようなメロディーだ”と呟いた。誠に御尤もな感想だと思う。昔の童謡には、短調で似通ったメロディーが結構あるのではないか。
“ののさま”を話題にしたところ、Hさんの育ったご家庭では日用語だったと言うではないか。つまり、“神仏”を意味することを彼女は御存知だった。品格の違いを痛感する。