数日前、“虎ノ門パストラル跡地の再開発事業用地にある巨木を、江戸時代からの伝統技術である「立曳き工法」で移植する”というニュースが目に付いた。この巨木はクスノキだそうだ。
そこで思い出すのが、当ブログで3年前に取り上げた“大楠が2本、引っ越し準備中”のことだ。
その後、クスノキをトレーラーに寝かせて運ぶ写真を載せたような気もするが、画像の検索は文字情報のようにはいかないので、再発見できない。
という訳で、安直に既存資料を引用する:東京大学「図書館の窓」Vol.54, 増刊号(2015.4)
クスノキはどこへ?
総合図書館前広場は現在工事中で地面がむき出しになっていますが、以前は、見事な枝ぶりの2本
の巨大なクスノキがありました。今はなきクスノキは、どこへ?伐採された?いいえ、ご安心ください。東京大学の重要な資産ということで、本郷キャンパス内に移植されたのです。2012 年6月11日から29日にかけて行われた大がかりな作業の末、総重量50~80トンにも及ぶ大木のクスノキは、医学部2号館前広場に無事、移植されました。移植後の活着を容易にするために、移植の1年ほど前に太根を切断し、埋め戻して切断部付近に細根の生育を促すとともに(これがまさに「根回し」です)、木の生命力をいったん弱めるために枝を大胆に落とすなどの入念な準備が行われました。
今では、新天地にすっかり根付き、枝ぶりも少しずつ戻りつつあります。クスノキ跡地に建設される新図書館の地下空間も、東京大学の知に少しずつ根を広げていくことでしょう。
上記ニュースにある「立曳き工法」は「タテビキ工法」と読み、文字通り、樹木を立ち姿のまま移動させる工法だそうだ(鋸の縦引き、横引きを思い出す!)。大型クレーンなどの重機を利用できない場合に人力主体で施工すると言う。家屋の「曳家工法」と同じものだろう。