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Channel: 愛唱会きらくジャーナル
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優れた音楽家~自然に親しむ~人生に向き合う

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ウィーン・フィルコンサートマスターのライナー・キュッヒル氏へのインタビュー記事連載第8回(17日付け)は≪自然との触れ合いが演奏に生きる≫で、音楽家も人として人生とどう向き合うかが大事であり、自然の感覚を持つことが大切だと強調している:
 
学生たちはスコアをなかなか見ないんですよ。曲の全体像をつかもうとしない。自分のパート譜は一生懸命勉強してもね。~~~
 
優れた音楽家として必要なのは、人としてどうであるかということです。一人の人間のなかから、音楽性の部分だけを切り離すことはできません。人として、その人が人生とどう向き合うか。もちろん音楽家にはいろんな要素が欠かせませんが、大切なのは自然の感覚を持っていること。自然と触れ合うことです。
 
コンクリートに囲まれて育ち、人工的な経験ばかりした子には自然な演奏ができません。それは彼らの演奏を聴くとよくわかります。やはり自然と触れ合い、感じ、見聞きするなかで、いろんな感覚を養ってほしい。その経験は必ず生きます。
 
日本で公開レッスンをしたとき、若い学生がブラームスのソナタの1番を弾きました。でも、ただ音符を弾いているだけ。音楽になっていないのです。
 
ブラームスは、この曲をオーストリア南部のケルンテン州にあるベルター湖畔で作曲しています。朝もやがかかったり、太陽の光が差し込んだりする風景のなかで生まれた曲だと一生懸命に説明するのですが、なかなか伝わらない。そういう場所や光景を知らなければイメージできませんし、そういう人にわかってもらうのは難しいですね。
 
若い頃から自然に親しみ、ある程度人生と向き合う経験を積んでいないと、音楽性も付いて来ないとおっしゃる。経験、経歴、名声に裏打ちされた音楽家の言葉として、重みが有る。
 

ローティーンの“天才”ピアニストやヴァイオリニストなどが持て囃されて、演奏会に“観衆”が集まることがある。楽譜から音を再現する技術は素晴らしいに違いない。しかし、キュッヒル氏の見方によれば、音楽性豊かな演奏とは言えないのかも知れない。勿論、年齢や経験を斟酌して、“天才的な”演奏を鑑賞するのも悪くはない。そういう楽しみ方もあってよい。

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