今月26日(金)に秋田赤十字病院で開く予定の《さくらの会》コンサートで「月の沙漠」を歌うことになっている。その歌詞が色々と考えさせてくれるので、退屈しない。
加藤まさを作詞(大正12年3月発表)/ 佐々木すぐる作曲
一 月の沙漠をはるばると旅のらくだが行きました
金と銀とのくら置おいて二つならんで行きました
二 金のくらには銀のかめ銀のくらには金のかめ
二つのかめは~~~
三 先のくらには王子さま後のくらにはお姫さま
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四 広い沙漠をひとすじに二人はどこへ行くのでしょう
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取り敢えず、「くら(鞍)」を取り上げてみよう。
銀のかめを結びつけた「金のくら」を載せたらくだと、金のかめを結びつけた「銀のくら」を載せたらくだが歩いている。
二頭のらくだは、前後して歩いており、“先のくらには王子さま”が、“後のくらにはお姫さま”が乗っている。
“王子さまは金のくら(お姫さまは銀のくら)”に乗っているのか、あるいは逆なのか、明示されてはいない。
歌詞内の言葉の出現順序に意味があると仮定すれば、
金のくら~先のくら~王子さま
銀のくら~後のくら~お姫さま
ということになる。いずれにしても、常に王子さまが先を行くのだ。先導と後続の関係をイメージさせることが重要だったのだろう。
“三 金のくらには王子さま銀のくらにはお姫さま”では、表現の繰り返しが目に付き、詩想が平板に堕し、詩人のお気には召さないだろう。
意図するところをわざわざ書かなくても読み手には解るような詩を作るのが才能と言うものなのだろう。(それほど大げさな問題でもなかったかな。)
(藤枝市HPから拝借)