昨日行って来た渋谷区郷土博物館・文学館の≪ハチ公没後八十年記念(上野博士没後九十年記念)≫展示に、“渋谷駅前の「忠犬ハチ公像」を小さくしたような、高さ三〇センチ程のテラコッタ(素焼き)の像”があった。
長くなるが、「郷土博物館・文学館だよりvol.28」から説明の一部を引用する:
“ハチ公は、昭和7年(1932)新聞に紹介されると、翌日から大変な人気となったといわれ、昭和9年には渋谷駅前に銅像が建設されました。この年、「忠犬ハチ公銅像頒布会」という会も設立されました。
この会は、小型のハチ公像頒布のために作られた会で、渋谷駅のハチ公像を制作した安藤照に像の原型制作を依頼しました。像販売の理由として安藤は(ママ)、芸術普及のため、あるいは学童の美術教育に有用だと説明し、協力させました。しかし、実はこの会の目的は、陶製で安価なハチ公像を作り、利益を得ようとするものでした。
テラコッタのハチ公像が完成し、販売の話が具体化する中で、安藤はそのことを知りました。安藤は激怒し、頒布会に対して、これまでかかった費用の全てを自分が支払う代わりに、全てのテラコッタ像を引き渡すように要求し、販売の話は白紙にすると通告しました。
販売予定であった像は安藤に送られ、ほとんど処分され、わずかに残った像も戦災により数体しか残りませんでした。”
同館では過去にも度々≪ハチ公展≫を催しているようで、例えば次のような写真がある:
左の4体が当時ハチ公特需で販売されそうになったテラコッタ製ハチ公像(恵比寿新聞2013.11.21)