副都心のランチタイムコンサートを聴いた。
第381回 Preghiera di Maggio ~五月の祈り~
S 齋藤千夏ドゥラガヌリー/S 佐藤篤子/Pf 大坪由里
Aプログラム12:05~
1 夜明けに微笑むあの花は ヘンデル [二重唱]
2 鐘が鳴ります 北原白秋/山田耕筰 [齋藤]
3 からたちの花 同 [佐藤]
4 シオンの娘よ 大いに喜べ ヘンデル《メサイア》 [齋藤]
5 ラウダムス・テ モーツァルト《ハ短調ミサ》 [佐藤]
Bプログラム12:35~
1 歌の翼 ハイネ/メンデルスゾーン [二重唱]
2 手紙の二重唱 モーツァルト《フィガロの結婚》 [二重唱]
3 ある晴れた日に プッチーニ《マダム・バタフライ》 [齋藤]
4 あなたの優しい声が ベッリーニ《清教徒》 [佐藤]
5 小さな空 武満徹 [二重唱]
熟女3人の取り合わせは、この会場では珍しい。見るからに落ち着いた雰囲気が醸し出される。齋藤はフランスに、佐藤と大坪はイタリアにそれぞれ留学して実力を磨いたようだ。
同じソプラノでも、斎藤の声は柔らかく、深みがあり、しっとり感があるのに対し、佐藤の声は輝かしさが特徴的だった。節回しの技巧では齋藤が安定しており、佐藤は高音を操るのが得意のようでもあった。
二人とも、日本歌曲はあまり得意ではないように聞こえた。特に佐藤の「からたちの花」では、ハラハラさせられた。
しかし、佐藤は最後、「あなたの優しい声が」を高い高い「ミ」(三点E)で締め、喝采を浴びた。今日の演奏の総てをこの、“鶴の一声”に掛けたかのようであった。悪いことではない。ソプラノの魅力は、何と言っても高音にあるのだから。
この曲では、歌い始めは控えブースに入ったままだったのだろうか、姿を見せずに歌い、休止部(間奏)でステージにあらわれるという凝った演出で、やはり、一番力を入れた跡が窺われた。
(写真はそれぞれの広報サイトから)