“看護師24時間常勤の介護付き有料老人ホーム”を謳う施設への昨日の出前コンサート、集合時間の記憶が曖昧だったので早目に出掛けたのだが、方向音痴を発症し、想定の時刻ピッタリに到着した。
この目的地付近は正に鬼門だ。別の福祉施設も所在し、過去に何回も通っているのに、脳内地図に刷り込まれていないのは何故だろう。方向音痴たる所以だと言われればそれまでだが。
道路の曲がり具合が鈍角や鋭角、或いは弧を描いており、方向感覚を狂わされること、同じような交差点が連続していることなどによるとは思うが、確かな目印(ランドマーク)を選定できない、特徴の無い地区であるとも言える。
そんな所へ雨の中、自転車で駆け付ける女性たちの体力、知力は尊敬に値する。
演目は約1週間前の訪問コンサート(2015/4/11(土))と殆ど同じだ。春のプログラムとして使い回すので、もう皆さん習熟している筈、と思うとそうでもない。あまり他人様の事はあげつらう資格も無いが、練習中に打ち合わせた事項を結構忘れるのだ。間奏を入れるか入れないかとか、繰り返しをするかどうかとか、そもそもどのパートが担当するのかとか、、、。
管弦班も危ういところがある。ピアノの先生も弾いてくれるのだが、彼らがふらつくと合唱班は途端に迷子になる。
今回は「白いブランコ」の2・3番間の間奏に上手く入れなかったため、約十秒間、不思議な管弦楽が漂った。指揮の先生も焦ったようだが、振り続けているうちに(プロ)ヴァイオリニストが力強く弾き始めて漸く全体が軌道に戻り、合唱班のしっかり者(憚りながら当管理人を含む。)が3番を歌い出した。こちらとしては血圧が急上昇した場面であるが、お客さん(約六十人)にはバレなかったと思いたい。
このヴォランティア音楽会グループの不思議さを認識させてくれたことに、所謂アンコール曲準備がある。“アンコールが掛ったら何を歌おうか”と相談するのは結構なことで、「夏は来ぬ」に決まり、1・2番を斉唱練習した。歌詞カード(合唱班用)と楽譜(器楽班用)の手配も済ませた。
そこまで準備したら、アンコールの呼び声の有無に拘わらず(強引に)歌ってしまうのが(当管理人にとっては)常識だ。当日は自発的な呼び声が掛らず、折角の準備が無駄になりそうな気配濃厚となったギリギリのタイミングで、アンコールのサクラを演じた(バレないように楽譜に俯いて)。
声のする方角が不自然だと思われたかどうか、それくらいはこの齢になると恥ずかしげも無くやってしまうから、振り返って恐ろしくなる。施設側の責任者が阿吽の呼吸で引き取って首尾よく「夏は来ぬ」を会場全員で斉唱し、盛会裏に終演となった。
グループの皆さんもご満足だっただろう。もし温和しくアンコール無しで終わっていれば欲求不満を持ち帰ることになったと想像するのは欲が強過ぎるだろうか。