岸純信氏によれば、ヴェルディのオペラ《シチリアの晩鐘》がマリア・カラスに栄光をもたらしたのだそうだ(学者泣かせ謎のカデンツァ、「春秋」2014.12):
“ミラノ・スカラ座のシーズン幕開き(1951.12.7)に上演されたこのオペラで、彼女はスカラ座のプリマドンナとして認められた。~
~ 終幕に響かせる高いE♭音の透明度~
~ カデンツァの「二オクターヴ半にも及ぶ半音階での急降下」~
~ ソプラノに五線譜下のF♯まで歌わせるなんて~~~”
と言うのだが、岸氏の主関心事は、「二オクターヴ半にも及ぶ半音階での急降下」のカデンツァをヴェルディが、いつ、どういう理由で盛り込んだかにある。
と言うのは、このオペラの初演はパリ・オペラ座(1855.6.13)で、楽譜はこの時の仏語版がオリジナルであるが、半年後にイタリア・パルマで披露(1855.12.26、タイトルは「ジョヴァンナ・デ・グスマン」)された時のイタリア語訳楽譜では、問題のカデンツァには難易二種類の楽譜が併載されており、どちらも仏語オリジナル版のカデンツァとは異なるのだそうだ。つまり、三種類あるわけだ。カラスはイタリア語版の難しい方のカデンツァに挑戦したことになる。
楽譜の謎解きは専門家にお任せするとして、当管理人は数字マニアの本領を発揮することとする。
先ず、今2015年は、ヴェルディのオペラ《シチリアの晩鐘》初演から百六十年に当たる。どうと言うことも無さそうだが、一応区切りの良い周年だ。
それよりも面白いのは、仏伊両国での初演月日の数字の妙だ。《フランス6.13》対《イタリア12.26》と並べてみると、月も日も数字の比が1:2となっている。勿論、偶然そうなったに相違無いが、印象的だ。
ついでに、両初演日の日差を勘定してみると、196日である。この数字は7で割り切れる(商28)。つまり、両日は同曜日である(実際には水曜日)。
偶然もこれだけ重なると、何か見えざる手の働きを想像したくなる。
蛇足:
両初演日間の日数196を7で割った答28は、更に7で割り切れる(商4=22)。
つまり、196=72x22=(7x2)2=142で、二乗数(平方数)である。