先月末、すなわち年度末のこと、大企業の消費者対応を2件経験した。
一つは我が家のガスオーヴン・電子レンジの修理、もう一つはスーパーのポイント使用についてである。
オーヴン・レンジの扉ガラスの外側強化ガラス板が予熱中に割れて飛び散ったのは半月ほど前だった。数メートルの範囲に飛散し、扉に付いた残片が数日中はパラパラ落下する有様だった。
売主たるガス会社と製造者たる電器メーカーでは、このような事故は聞いたことが無いと口を揃えていたが、ネット検索すると同様事例のあることが判明した。彼らがそれを知らない筈は無いから、製品の欠陥ではないとの立場をとるためのマニュアル的な対応だったと思われる。
外側ガラス板だけが飛散したことをどう理解するかは難しいことだが、既存の小さな亀裂が予熱膨張のストレスにより破壊に至ったことは確かだろう。企業側は、“微小亀裂がどの時点でできたものか不明だから責任は取れない”と妙な理屈を持ち出した。
“強化ガラスはよほど大きな衝撃を受けない限り亀裂も生じない”とも言われた。要するに使用者が乱暴に扱ったのだと言わんばかりであった。換言すれば、気ちがい扱いされたわけだが、売り言葉に買い言葉と興奮すること無く、諄々と彼らの非理を説いた。
おかしなことに、消費者センターも企業側の屁理屈を述べるだけだった。
ところが、どういう風の吹き回しか、年度末日に技術者が来訪し、修理した上、代金は請求しなかった。問題がこじれて騒ぎが大きくなることを懸念したのかも知れない。問題未処理のまま新年度に入ることを嫌ったのかも知れない。
当方のまっとうな主張が通ったことを良しとするものの、強大な企業相手といえども、安易に諦めないことの重要性を認識した一件だった。
スーパーの買物ポイントは有効期限が有り、今回は3月末にまとまった額が失効するというので、当該末日に使おうとしたのだが、“初めての店ではポイントを使えない”というような規則を持ち出されて大いに慌てた。
即座に交通費とポイントを無駄にする結果を覚悟したが、一応“そんな規則は知らなかった”と釈明したところ、意外にもどこか中央の担当部処と協議の上、“今回限りの処置だが”と念を押しつつ、柔軟に対応してくれた。
この件は当方に分が無く、突っぱねられても恨み言は言えない性質のものだから、このスーパーの消費者対応には感心し、かつ、感謝する次第だ。いずれにしろ、言うべきことは一応言ってみるべきだと再認識した。