近頃間歇的に読んでいる中村健之介/著「ニコライ 価値があるのは、他を憐れむ心だけだ」の中に“東京駿河台の正教神学校でニコライから七年間にわたって教えを受けたワシリイ昇直隆(曙夢)は~”との記述がある。
これは、昇がロシア正教の神学とロシア語を教わったことを意味するに過ぎないが、別に次の記述のあることがヒントになると思った。
“(ニコライは)晩年の談話で次のように語っている。「生来のん気な明るい性格なので~よく遊んだ。あるときなどは、親戚の者の婚礼で思いっきり踊ったりもした[ニコライは歌が好きで上手だった。ダンスも上手だったようだ]。」”
また、ニコライも学んだ中等神学校について、“「音楽教育」が過剰なまでに熱心に行われている”との批判があったことが述べられている。
つまり、過剰なまでに熱心な音楽教育を受けており、歌が好きで上手だったニコライの教えを七年間にわたって受けた昇は、ロシアの音楽書あるいは歌集を容易に手にする環境にあったのではないか、と推察する。
これで、それら原書が明らかになるわけではないが、疑問の半分は解けたような気分だ。